このSSは『とらいあんぐるハート3』と『とある魔術の禁書目録』、『とある科学の超電磁砲』とのトリプルクロスです。

今作は三つの原作の世界を完全に融合させている故、どの作品に於いても設定変更がございます。

加えて後者の作品に於きましては話の構想上、レベル5の順列が僅かばかり変わってしまっています。

まあ、要するに完全趣味といった形のお話ですので、それを良しとした上で見てみようと思う方のみ、どうぞお読みくださいませ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

総人口230万人の内8割が学生で外部と隔離された、巨大都市。

 

人呼んで『学園都市』と呼ばれるここは、すべて揃っている故の自己完結した都市である。

 

最先端の科学を研究する研究所やそれらを実証する各種実験施設。そして、それの対象となる学生たちの教育機関。

 

それらを支える農業、工業、各種インフラなどすべてこの都市にはある……だからこそ、自己完結という言葉が成り立ってくる。

 

ただ、そのように科学が大きく発展しているからといっても、決して犯罪が無いわけではない。

 

どれだけ警備の機械が配備されても、どれだけ『風紀委員(ジャッジメント)』や『警備員(アンチスキル)』が治安維持のために奮闘しようとも。

 

結局のところ犯罪は消えない。それがここ、『学園都市』の現在の在り様だと言ってもいい。

 

だからこそ、その現実が『学園都市』を生きる全ての人々にとって当たり前となっているからこそ、それが普通なのだと思い込む。

 

それが『学園都市』に於いての普通なのだと、思い込む。そして俺もまた、普通だと思い込んでいた人間の一人だった。

 

望んだ力、望まなかった力……その二つを持つも使う機会はほとんど無く、故にこそ今が平和なのだと思い込んでいた。

 

 

 

 

 

彼と出会ってから一年が経った夏の、あの日を迎えるまでは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Integration of science and fencing sword skills phrase

 

プロローグ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

剣術と能力……前者はともかく、後者は別に手にしようと思ったわけでもないし、手にしたいとも思わなかった。

それが『学園都市』に住まう学生の一人である彼――高町恭也の考えだったのだが、何の因果か彼は手に入れてしまった。

学校のカリキュラムだから仕方なく、なんて事ではない。母親(といっても義母だが)の話によれば、昔からあったとの事。

今の母が彼の父と出会い、再婚してからしばらくして知ったらしいから、数年も前の話。となれば、別にカリキュラムは関係ないだろう。

加えて別に能力がある事を疎ましく思った事も無い。確かに手にしたくて手にしたわけではないが、別段あって困るものでもない。

能力を制御するために『学園都市』へ移住する羽目になったのも父親が再婚して一年目の話だったから、今現在にしてそこに不満があるという事も無い。

むしろ彼のためを思い、能力を持つ事が可笑しな事だと見られず、普通に友人が作れる環境へ移住を決めてくれた両親に彼は感謝もしていた。

 

 

 

――しかしながらそんな彼でもやはり、不満の一つは存在する。

 

 

 

耐え難いというわけではないが、溜息がつきたくなる不満。それは彼の持つ能力が、強力という二言に部類されるという事。

変に努力をしたわけではなく、一応制御のために訓練していた事が祟って能力が伸び、身体検査(システムスキャン)で望まぬ数値を叩き出してしまった。

そのせいで今では知る人ぞ知るという若干の有名人。街で奇異の目を向けられないだけマシだが、知られると大概知った人の表情が変わる。

それが彼としてはあまり嬉しい事ではない。けれどまあ、今では仕方のない事かと諦め混じりではあるが、納得する事にしていた。

 

「ふぅ……さすがにこれだけの量になると、肩が凝るな」

 

そんな彼は今何をしているのかと言えば、一言で言えば買い物。もう少し詳しく言えば、母親が経営している喫茶店で必要な物の買い出し。

基本的に必要な食材等は業者から取り寄せているのだが、話に寄れば発注したはずの小麦粉が届いた物の中に入っていなかったとの事。

問い合わせて再度発注するにしても、今の時間では届くのは明日になる。けれどこの日はいつもより人が多く来店したため、残っていた小麦粉では保たない。

そのためかこの日は学校も休み故、手伝いに出ていた彼が駆り出された。そしてそれからすぐに買い出しへ出て、今の至るというわけである。

とはいえ、これだけの量というほど彼の母は要求していない。それがなぜ、そんな量になっているかと言えば、はっきり言って彼の判断が原因。

厨房の状況を把握せぬままに出たせいでどれほどか聞いておらず、絶対に少ないと言われない量を買おうと思った結果の惨状であるのだ。

そのお陰で腕力も体力もあるから疲れるという事はないが、それでもそんな愚痴を零しつつ、彼は小麦粉の入れられた袋を持って帰路を歩き続ける。

 

「……ん? あれは……」

 

喫茶店のある商店街へと入り、ある目的地まであと少しというところでふと彼は足を止める。そしてその視線はある一点へ。

その先にあった光景とは、六人ほどの男性が二人の女の子を囲んでいるというもの。

 

 

 

――言ってしまえば、どこにでもあるナンパの現場である。

 

 

 

これが女の子だけで断れそうに見えたなら彼も素通りする。はたまた男性側の引きが良いように見えるなら、同じく素通りする。

けれどそのどちらとも目の前の光景からは窺えない。それどころか、男性グループの一人があろう事か、女の子の手を掴んで無理矢理引き連れて行こうとしている。

最初のほうだけでも放っておけない光景に属していたが、ここまでくるともう素通りするなど出来ず、彼は溜息をつきつつ近付き、即座に女の子を掴む男性の腕を捻り上げる。

 

「イ、イデデデッ――!」

 

「全く……ナンパするにしても、少しは引き際というものを弁えたらどうなんだ?」

 

そう言いつつ腕を捻っていた男を集団の方へと放れば、それが引き金となったのか集団は怒り心頭で一斉に殴りかかってきた。

しかしながら、殴りかかってくる男たち全員の動きはてんで素人。何か能力でもあるのかと考えはしていたが、様子からそうでもない感じ。

ただ単純に殴りかかってくるだけ……それ故、彼も能力などは一切使わず(相手が使ってきても場合によっては使わないが)、一人ずつ叩き伏せる。

そして二人ほど意識が刈り取られ、残る面子に於いても一分と経たずして戦意喪失。その全員が尻餅をつきつつ、怯えた目で彼を見上げていた。

 

「今回はこの程度で済ませてやる……だが次も今日と同じ現場を目撃したら、この程度では済まさん。分かったな?」

 

そんな目を浮かべる彼らへそう告げれば、彼らは間髪いれず頭をブンブンと縦に振り、必死に肯定の意を示してきた。

そしてその返答に満足した恭也が顎で行けと促せば、すぐさま倒れた仲間を抱えつつ、男たちは脱兎の如く走り去っていく。

それを彼は最後まで見る事はなく、ある程度離れた時点で視線を逸らし、被害者である女の子たちへと視線を向け、安心させるよう言葉を掛けようとする。

 

 

 

――だが、言葉を掛けようとした口は彼女らが自身へ向けてくる視線により、閉ざされる事になった。

 

 

 

親しい人ではない人が彼の事を知っていた時、もしくは知った場合に向ける視線というのが存在する。

それは上でも述べた事だが、その視線はそれに属さなかった。緊張するような物とは違い、なぜか内一人などは尊敬するような目さえ向ける。

一応身体検査で高位能力者という事にされてから、時に前者の視線は多々受けてきたが、後者はほとんどない。

それ故、そんな珍しい視線を受けて言葉が掛けられず、珍しく表情を分かり易く困惑へと変えてしまう中、女の子の一人――頭に多くの花を乗せた少女が口を開いた。

 

「あ、あの! 失礼ですけど貴方ってもしかして、高町恭也さんじゃないですか? あの八人しかいない『レベル5』の『第四位』、『爆風圧砕(ダウンバースト)』の……」

 

「え……あ、ええ。確かにそれで合ってますが……」

 

戸惑いつつもそう返せば、花飾りの少女は感極まったように喜び出す。ここまでくると正直、彼としては困惑を通り越して意味不明。

しかしながら、下手をすると叫びかねない様子なものだから動揺しつつも落ちつけようとするが、その前に隣の少女が彼女を窘めた。

すると少しばかりだが花飾りの少女は落ち着きを取り戻し、けれど尊敬の視線は未だ解除する事無く、勢いよく頭を下げてきた。

 

「は、初めまして! も、申し遅れましたが、私は初春飾利と言います! 柵川中学の一年生で能力はレベル1、一応こんな成りですが『風紀委員』なんてのをしていまして――あいたっ!」

 

「うん、とりあえず初春。まずは落ち着こう……高町さん、凄く困ってるよ?」

 

「え、あ、そ、そうですね。コホンッ……失礼しました。それでこれまた紹介が遅れましたが、隣のこの人は私と同じ中学に通っている友達の佐天さんです」

 

「どうも~、ご紹介に預かりました佐天涙子です。さっきはナンパの人たちから助けてくれてどうもありがとうございました、高町さん!」

 

「ああいや、別に気にしなくていいですよ。俺が勝手にした事ですから」

 

いつもならナンパの現場へ助けに入ると決まって恭也は一言二言だけ声を掛けてから立ち去るのがセオリー。

けれど今回ばっかりはそれが出来ず。お礼と共になぜだか自己紹介などされては、いつもの調子で立ち去るなど無理だ。

となればどう言ってこの場から立ち去るのが適切か……そんな事を頭の中で考えていた最中、またも事態は予想外の方向へ転がる。

 

「そうだ! こうして助けてもらったのも何かの縁ですから、お礼も兼ねて一緒にお茶しましょうよ! ちょうど私たち、この近くの喫茶店に行く所だったんで」

 

「……はい?」

 

「あ、いいですねソレ! 高町さん、お暇でしたら私からも是非っ!」

 

「……あ~……」

 

花飾りの少女――初春はさっきからずっとそうだが、なぜか黒髪ストレートの少女――佐天もこの提案を告げる際はハイテンション。

そこもあって話の流れ的にすでに付いていけない領域。それ故、咄嗟にどう断ったものかと頭を巡らせるが、その次の瞬間にはいきなり手を引っ張られる。

あまりにも強引な上、問い掛けてきてるにも関わらず返答を待ちもしない。そもそもなぜそこまで興奮してるのかさえも未だ彼には不明。

けれど何にしても、引っ張られる手を無理矢理解くわけにもいかず、少しの道草はいいかと諦めつつ咄嗟に小麦粉の袋を掴み、二人と共にその場を後にした。

 

 

 

 

 

二人に連れられて喫茶店に辿り着いた時、半ば強引に誘いを受けた事に関して少しばかり、後悔する羽目となった。

なぜなら二人が彼を連れて歩き、辿り着いた喫茶店というのが彼の目的地――『喫茶翠屋』であったのだから。

小麦粉を早めに届けるという事に関しては都合が良かったが、一応手伝い途中の人間が手伝ってる店でお茶というのに関しては都合が悪い。

何より、女の子を連れて来たとなったら彼の母親が何を仕出かすか分かったものではない。それ故、店の前についた瞬間、小さな溜息。

しかし、二人は恭也のその様子に気付かず、未だ変わらぬハイテンションで扉を開けて来店。そしてこれまた都合が悪い事にちょうどカウンターに出ていた母親――桃子と遭遇。

咄嗟に頭を抱えたくなるのを必死に抑えつつ、恭也が二人の女の子を連れて帰ってきた事に若干呆然とする桃子へ小麦粉を渡すと共に事情説明。

それに彼女が納得し(その際になぜか溜息をついていた)、今日はもう上がっていいという言葉を受け、ようやく恭也は彼女らと共に奥のボックス席へと腰掛けた。

 

「は~……ここ、高町さんのお母さんが経営してるお店だったぁ。何ていうか、これまた凄い偶然だよね」

 

「そうですね。雑誌の紹介でも高町桃子さんって名前は見ましたけど、まさかあの有名な高町さんのお母さんだったなんて思いませんでした……」

 

恭也の対面に腰掛けつつ、桃子に対しての感想を述べる二人。だが、彼の耳にその言葉は全く入ってこなかった。

何しろ、この後一体何を聞かれるだろうかとか、どう説明すべきかなどと後々の事に関しての対応を考えるので精一杯だったのだ。

恭也が女の子を店へ連れてくれば、彼女のテンションが上がる。そして恭也に恋人が出来るかも、三十代で初孫が抱けるかもなんて考える。

その結果、いらない世話を焼いたり、連れてきた女の子がいなくなったら色々と言ってきたり聞いてきたり……彼にとって疲労が重なる事のオンパレード。

故にそれを今回はどうやって回避すべきかと彼は考える。けれどまたもや、彼のそんな思考など露とも知らず、二人は各々自身の食べたい物を注文。

そして時間帯的に人の出入りが若干少なくなっている故か、早々に運ばれてきた飲み物を一口だけ飲み、カップを置きつつ口を開いた。

 

「それにしても噂って案外当てにならないもんだよね~……高町さんって、全然噂通りの人じゃなかったし」

 

「え――あ、ああ。コホンッ……そうなんですか? 俺自身、その噂というのは聞いた事がないんですが」

 

「え え。クラスメイトとか知り合いの間で流れてる噂だと、『爆風圧砕』は無口で無表情、誰に対しても冷たくて素っ気ないクールな男性って感じでしたけど、実際 に見た高町さんは無口でもなければ無表情でもない。冷たくもなければ、素っ気なくもない……むしろ、優しそうでカッコイイ男の人って感じでした♪」

 

「……前者はともかく、後者のはさすがに言い過ぎじゃないですか?」

 

「そ、そんな事無いです! 私も凄くカッコイイ人だって思いましたし、こんなお兄ちゃんがいたらいいなとかちょっとだけ思っちゃったりも――!」

 

「あ~、はいはい。だから落ち着こうね、初春。そんな大声で話したら高町さんも困るだろうし、何よりここは店の中なんだからさ」

 

彼女がそう窘めると顔を真っ赤にして謝りつつ初春は縮こまる。けれど大声を出されたときこそ驚きはしたが、その様子に恭也も自然と苦笑を零してしまう。

それに二人も顔を見合わせ、同じく小さな笑いを上げる。それが三人の間にあった変な空気、そして恭也が抱いていた困惑等の感情を綺麗に消し去った。

そのため恭也もこの後の事を考える事は止め、佐天の言葉ではないが折角なのだから今は会話を楽しむ事にしようという事にした。

そして彼がそう決めて話し出し、そこから話が広がっていつの間にか楽しげな談笑という光景になりつつあったとき、恭也はある事にふと気付き、そこを尋ねた。

 

「ところで二人――初春さんと佐天さんはさっきの話を聞く限り、ここに来るのは初めてなんですよね?」

 

「え? あ、はい。そもそも買い物をするときは少し離れた場所のデパートで行く事が多くてこの商店街自体、あまり足を踏み入れた事がなかったりするんですよ」

 

「ああ、なるほど……確かにあちらのほうが品揃えとかもいいですからね。では、今日はどうしてこちらへ?」

 

「えっと、明日は折角の休みだから皆でお茶でもしようって事になって、それでどこがいいかなって雑誌を読んでたら――」

 

「ここの名前があった、と……という事はもしかして、あそこにいたのは残りのお友達との待ち合わせか何かですか?」

 

「ええ、そういう事に――――って、しまった!!」

 

肯定の言葉を言い切る事無くいきなり声を上げ、佐天は携帯を取り出す。その動作で最初こそ何事かと理解してなかった初春も、何かに気付いて顔を真っ青へ。

けれど佐天はそんな初春に構わず携帯を操作し、しかしすぐに頭をガリガリと掻きつつ自身の携帯を仕舞って初春に携帯を出すよう告げ出す。

それに初春がコクコクと頷き、すぐさま取り出した携帯を受け取りボタンを操作、数秒後に電話を掛け始める。そしてそれが繋がるや否や、頭をペコペコさせつつ謝罪の嵐。

それから何やら場所の変更がどうのやらと電話越しに相手へ告げる。その内容からして……いや、それ以前にあの質問で気付く辺り、おそらく待ち合わせに関しての話だろう。

きっと恭也が助けたあの場所が他の面子との待ち合わせ場所。だけど恭也と会った事の興奮でそれをさっぱり忘れてしまい、今更気付いて電話したという所。

だが待ち合わせがいつだったのかは分からないが、今更でも気付いただけマシだろう。そう考えつつ、恭也はお冷を飲みながら成り行きを静かに見守る。

 

「え え、はい。済みませんけど待ち合わせ場所は現地って事で……え、店の場所ですか? えっと、商店街にはもう居るんですよね? お二人の居る場所から見て周 りに何が……ああ、そこからでしたら近いですね。今言った店の右側数件隣にドラッグストアがあると思うんですけど、そこから四件ほど隣の方に――」

 

電話越しにナビゲートを続ける事、数分後。ようやく電話を切った彼女は若干疲れたように背凭れへグッタリと凭れかかる。

そしてそれから五分と経たずして鳴り響くカランカランという音。その音に対して扉方面を向き、こっちですと言わんばかりに手を振る目の前の二人。

それは二人が当初の予定としてあの場所で待ち合わせをしていた者が来たのだという事を表すため、恭也はそろそろお暇しようと席を立ち上がる。

近づいてくる足音からして人数は二人。目の前の二人を合わされば合計四人。さすがに四人の女の子に囲まれてお茶というのは男の身として気まずい。

それ故、もう帰っちゃうんですかと残念そうな目を向けてくる二人に頷きながら別れを告げつつ、そのまま背を向けるのだが……。

 

「「……あ(まあ)……」」

 

「……む……」

 

近づいてきていた二人組とちょうど目が合った瞬間、互いに小さく声を上げて硬直してしまった。

恭也とその二人の女の子が互いに見つめ合ったまま硬直してしまうそんな光景に初春も佐天も揃って首を傾げる。

そして一体どうしたのか訊ねようと初春があの……と小さく声を掛ける。するとその声が切っ掛けとなったのか、止まっていたときがようやく動き出した。

 

「これはまた……つくづく変な場所で会うわよね、アンタとは」

 

「別に望んでそうしてるわけではないのだがな……それより、もしかしなくとも初春さんと佐天さんの友達というのは――」

 

「私たちの事ですわね。大体、お二人がこちら側へ手を振り、私たちが近づいてきたという事実からそれ以外考えようがないと思いませんこと?」

 

「はぁ……まあ、確かにな。ともあれ……久しぶりだな、御坂、白井」

 

「ん、久しぶり。といっても黒子はともかく、私の場合は三日前も会ってるんだから久しぶりでもないわよね」

 

セミロングの少女――御坂美琴に続き、ツインテールの少女――白井黒子が改めて挨拶をすれば、恭也は短く頷くだけで返す。

その様子からしてどういった経緯からなのかは知らないが、この二人と恭也が知り合いだというのは初春と佐天にも容易に分かった。

とはいえ、決して驚かないわけではない。まさか知り合いだとは思わなかったし、何より同じレベル5同士の人間が親しくしてるとは普通想像しない。

順列がある以上、今より力を付けて追い抜こうという競争心を持つため、慣れ合う事などない……それが二人の見解であったのだから。

しかも、恭也が第四位なのに対して美琴は第三位。順位が均衡しているから、その考え方もあってまさか親しい間柄だとは想像だにしなかった。

それ故、驚きから二人とも固まっていたのだが、会話を終えた二人が恭也の座っていた側の席へと座り、帰ろうとした彼を無理矢理また座らせたという所でようやく我へ返った。

 

「御坂さんも白井さんも、高町さんとはお知り合いだったんですねぇ……しかも、ちょっと仲良さげだし」

 

「そう? 初めて会ったときからこんな感じだったから、私は全然意識した事もなかったんだけど」

 

「えっと、少なくとも私はそう見えますね。高町さんのほうも、なんか話し方が砕けた感じですし」

 

「それはご本人曰く、礼には礼を、無礼には無礼をで返す性質だからだそうですわ。ですから、この方の言葉遣いが砕けていてもそれは仲が良いという事に繋がりませんの。もっとも、だからと言って仲が悪いというわけでもありませんけど」

 

「はあ……そうなんですか?」

 

「ええ。大体、お姉様はどうなのかは存じ上げませんが、私の場合はこの方と会ったのも今回でまだ三度目。加えて最初の出会い方が出会い方でしたから、親しい間柄になるにしてもまだまだ時間が必要になりますわね」

 

本人を前にして、しかも特に親しくなりたいとは思ってないような感じで言うのも正直どうだろうと思う。

だが、話の種である恭也は彼女のそんな物言いに慣れているのか、特に気にした風もなくお冷を飲みつつ聞き流していた。

そして会話が一瞬だけ途切れたとき、黒子が言った言葉でとある部分が気になった初春は小さく手を上げつつ、ソレを問うた。

 

「あの……白井さんは一体、高町さんとどんな出会い方をしたんですか? 言葉を聞く限り、良い出会い方じゃなかったのは分かるんですけど」

 

黒子から聞いた限りでは初春の言うとおり、良い出会い方だったようには聞こえない。むしろ、最悪の出会い方だったというようにも聞こえる。

それは佐天とて同じだったのか、自分も聞きたいとばかりに黒子へ目を向ける。だが、問われた側の彼女は何やら嫌そうな顔、当事者たる恭也は無表情で互いに溜息。

様子的にどうやら、問われた事でその出会ったときの事でも思い出したらしい。ちなみに黒子と恭也のその様子に隣の美琴と声を噛み殺して笑っていた。

何が面白いのかはまだ聞いてないので分からないが、とてもその様子は可笑しそう。そして彼女のその様子が余計に二人の興味を惹き立てる。

そのためか、話を期待するような視線をジッと無言で向けられ、黒子は仕方ないとばかりに今一度溜息をつき――――

 

 

 

 

 

「この方と出会ったのは今から一ヶ月ほど前……『風紀委員』として、通報を受けた現場へ赴いた時の事でしたわ」

 

――僅かに憂鬱そうな表情にて、静かに語り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

【咲】 うん、完全に趣味的なお話よね。

いや、そこまではっきり言わんでも……まあ、実際にそういう感じは否めないんだが。

【咲】 ていうか、この時点だとインデックスというよりはレールガンじゃない?

うん、それは俺も思った。でも、当麻側よりも先にこっちを書きたかったんだよね。

【咲】 まあ、アンタって当麻も好きだけど、御坂も好きではあるしね。

ま、それは確かにな。

【咲】 ていうかさ、話の展開が急過ぎる感じが今回は結構あるわよね。

まあねぇ……けど、書ききった後で気付いたから今から修正すると凄く可笑しくなっちゃうんだよね。

【咲】 それでどうせ趣味なんだからコレで良しって妥協しちゃったのね……。

えっと……はい、その通りでございます。

【咲】 はぁ……まあ、いいわ。それで次回はこの話の流れ的に見て、黒子と出会ったときのお話になるのよね?

そうなるな。ついでの今回の話で分かったと思うが、恭也にとっても黒子にとっても苦々しい思い出でしかなかったり。

【咲】 一体どんな出会い方をしたんだか……。

ま、それは次回を見てもらえれば分かるさ。じゃ、少し早いけど今回はこの辺にて!!

【咲】 また次回会いましょうね♪

では~ノシ

 

 

 

 

 

 

 

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