これはメンアットトライアングル2の設定をある程度用いた嘘予告です。

メンアットに関してのネタバレが多々含みますので、見る方はそれを了解の上でお読みください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学園の昼時、珍しく中庭では人の賑わいというものがなかった。

というか中央付近にいる恭也とミラ、そしてその子供たち以外は誰もいない。

そして彼らにしても賑わいというほど会話はしておらず、どちらかと言えばしんみりとした雰囲気。

一体何が彼らをそんな風にさせるのか……それは口にする会話の内容に出ていた。

 

「ほ、ほんとに三人だけで大丈夫? やっぱり私たちも行ったほうが……」

 

「大丈夫だよ、母さん。三人だけって言っても、父さんの実家に行くだけなんだから」

 

要するにそういうこと。ここに集まっているのは蓮也と綾菜、そして彩音の見送り故だ。

以前から何度か家族で恭也の実家――高町家に訪れはしていたが、今回はこの三人のみ。

というのも、恭也もミラも講義が入っており、それがどうしても外せないためにこうなってしまったのだ。

親が行けないなら子もという考えも思い付くが、楽しみにしているという三人の様子を見るとそれも出来ない。

それ故にこういった形を取ることになり、過保護なミラは異常なまでに心配顔をしているのだった。

 

「でも……もし向こうで何かあったらと思うとお母さんも心配で」

 

「大丈夫……綾菜たち、そんなに弱くないから」

 

事件を乗り越えて心も少しだけ強くなった片目眼帯の少女――綾菜は、安心させるべくそう告げる。

だが、それでもやはり心配と思う気持ちは消えず、今だやっぱり自分たちもなどと考えるミラ。

そんな彼女を隣にいる恭也が宥め、ようやく落ち着いたところで子供たちへと視線を向けて口を開く。

 

「気をつけてな……あと、母さんに今回は帰れなくてすまないと伝えておいてくれ」

 

「わかった! お土産、楽しみにしててね、恭也♪」

 

事件以後は以前よりも流暢に喋れるようになった片目が朱色の少女――彩音は無邪気に言う。

それに恭也も僅かに微笑を漏らしてその頭を優しく撫でると、彼女は気持ち良さそうに目を細める。

そうしてもう僅かほど言葉を交わした後、三人は恭也とミラに背を向ける。

 

「じゃあ、彩音……ゲートを開いてくれ」

 

「りょうか〜い♪」

 

蓮也に告げられたことを実行すべく、彩音は右手の指にはめられている指輪――スレイプニルを使用する。

異世界どころか、平行世界へさえも渡ることが出来る神器。それを用いることで海鳴の高町家へと転移ゲートを開くのだ。

本来これの持ち主はセリナなのだが、高町家に向かうということで快く貸し出してくれたという現状である。

まあそんなわけで数秒とせずに光を放つ指輪は五人の目の前に大きな黒い渦を顕現させ、その光を収める。

光が収まってゲートが開いたのを確認し、三人は自身らの親である恭也とミラに手を振りながら、渦の中へと姿を消していく。

そして、その姿がゲート内部へと完全に消えていこうとするその瞬間――

 

 

 

 

 

――いつもと違う黒き光を、スレイプニルはただの一瞬だけ放っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲートを抜けた三人が辿り着いた場所は、指定したとおり高町家であった。

しかし、正確に指定した場所は玄関前であり、間違っても高町家内の庭などではない。

それ故に僅かな誤差とはいえ、妙だなと思いながら三人は玄関のほうへと回りこんでいく。

そして、来訪を知らせるためにベルを鳴らそうとした途端、扉がガラガラと急に開かれた。

 

「っと……お客さんかな?」

 

「「え……」」

 

桃子か、美由希か、それとも他の誰かか。そう思っていたのに出てきた人は全く予想できなかった人。

それ故に驚きを浮かべる蓮也と綾菜。しかし、なぜか彩音は出てきた人物に抱きついていた。

突然抱きつかれたこと、そして蓮也と綾菜が自分を見て呆然としていることに困惑する目の前の男性。

そしてしばらくの沈黙が流れ、ようやく我に返った二人はそれでも驚きと共に言葉を紡いだ。

 

「「(お)父さん……」」

 

「……は?」

 

二人より発せられた単語があまりに予想外だったのか、目の前の男性は目を丸くする。

そしてまたしても沈黙が皆の周りを支配する中、家の中から玄関へと近づく足音が聞こえてきた。

今度は反対にその足音にて我に返った男性が後ろへと振り向くと、足音の主は間もなくして姿を現した。

 

「どうしたの、士郎さん? 忘れ物?」

 

「いや、忘れ物じゃないんだが……」

 

そう言って困ったというような顔を浮かべつつ、横目で三人へと視線を送る男性――士郎。

一体どうしたのかと思い、やってきた女性――桃子が視線の向かう先に目を向けると、そこには三人の子供。

しかも、その中の一人である男の子が非常に士郎と似ているため、桃子としても驚くしかない。

 

「えっと……この子たちは?」

 

驚きを浮かべながら尋ねられた言葉には、士郎も分からない返すしかなかった。

本人たちに聞こうにも士郎と同じく困惑の表情であるため、聞くに聞けない状態。

だがこのままここにいても埒が明かないため、とりあえず桃子は士郎も含めて家に上がるように勧めた。

それに従うように四人とも頷き、桃子に連れられて高町家内へと足を踏み入れていった。

 

 

 

 

 

家に上がり、リビングで向かい合うように腰掛けた後、士郎は三人に事情を尋ねる。

なぜ自分を父と呼んだのか、なぜ家の前にいたのか、そして……彼らが何者なのかを。

尋ねられたことに三人を代表して蓮也は事の次第を詳しく話し始めると、士郎も桃子も驚きしか浮かべられなかった。

それもそうだろう……平行世界から来た、親である恭也が士郎と似てる、自分たちは恭也の子供などと言われれば普通は驚く。

というか、本来なら信じられないだろう。話によると恭也は付き合っている人はいるがまだ子供はいないし、平行世界などという存在は安易に信じられるようなものではない。

だが、蓮也の告げる説明には真実味を帯びる内容も多々含まれており、尚且つ嘘を言っている目には見えない。

だからこそ信じることは出来たものの、説明が終わっても驚きが表情から消えることはなかった。

 

「恭也の子供、かぁ……しかも未来の世界とかじゃなく、平行世界ときたか」

 

「不思議なこともあるものね……でも、こんなに早く孫が抱けたのは嬉しいわね♪」

 

「ははは、確かにな」

 

そう言って桃子は綾菜を抱きかかえ、士郎は抱きついてくる彩音の頭を撫でる。

この際、恭也ではないと分かっているはずなのになぜ彩音が士郎に懐くのかという疑問が蓮也の頭に浮かぶ。

だが、それはすぐに解けることとなる。彩音を撫でながら向ける士郎の視線にて。

 

「にしても可愛い子だな。名前はなんて言うんだ?」

 

「あやね〜♪」

 

「彩音ちゃんか……いい名前だな」

 

撫でながら会話をする士郎の声には、父である恭也と同質の優しさが垣間見える。

おそらくはこれが原因……要するに、彩音は恭也と同じ空気があると無条件で懐いてしまうらしい。

そしてそんな風に彩音を分析していた最中、士郎の視線は再び蓮也へと向けられ、その口が開かれた。

 

「それで、君たちはこれからどうするんだ? 帰るあてがないのならここにいても構わないのだが」

 

「いえ、あてがないということもないので、一度帰って原因を調べてもらおうと思います」

 

「え〜……もう帰るの、蓮也?」

 

蓮也の返答にかなり不満そうな声を上げる彩音、そして声にこそ出さぬものの綾菜も不満そう。

本来の場所と違うとはいえ高町家であることに変わりは無く、加えていないはずの祖父にも会えた。

それ故にしばらくここにいたいという思いが出たのだろう。それは蓮也とて同じであった。

しかし、スレイプニルに何かしらの問題が発生したのならその原因を究明しなければならないのも事実。

そしてそれは場合によっては一刻を争うことだってあり得る。だからこそ、蓮也は不満そうな二人を押し切って帰ることを決めた。

 

「じゃあ、もう一回ゲートを開いて、彩音」

 

「は〜い……」

 

とりあえず士郎から引き剥がし、リビングからちょっと離れた位置でゲートを開いてと言う。

それに彩音は今だ不満そうにしながらもスレイプニルを行使し、元いた世界へのゲートを開こうとする。

しかし、彩音が念じても指輪は一切反応することなく、ただ沈黙するだけであった。

 

「あれ? あれれ?」

 

「どうしたんだ、彩音?」

 

「なんかね……ゲートが開けないの。というか、スレイプニルそのものが一切反応しなくなっちゃってる」

 

「…………え?」

 

あまりに信じられないこと故に一瞬呆然。しかし、再起動すると同時に彩音の右手を掴む。

そして彩音の手を(正確には指にある指輪を)マジマジと見詰め、それにより彩音は僅かに頬を染める。

しかし、恭也の鈍感さをある程度受け継いでいる蓮也はそれの意図に気づかない。というか事態的に気づく余裕もない。

掴んでいた彩音の手を下ろすと珍しくどうしたものかとオロオロしだし、時折頭を抱えて悩み始めてしまう。

そんな一変した蓮也の様子に士郎と桃子も心配になり、どうしたのかと尋ねると彼は事の次第を話し出した。

 

「えっと……自分たちがここに来るときに使った道具が全然反応しなくなってしまって、その……」

 

「帰れなくなった、ということか?」

 

「……はい」

 

力なく頷く蓮也を士郎と桃子は慰めつつ、再度しばらく滞在することを勧める。

先ほどまでならいざ知らず、帰れない今となっては了承するより他はなく、今度は蓮也も首を縦に振った。

 

 

 

 

 

――こうして、蓮也と彩音、そして彩音の三人は一時的にこの高町家に滞在することとなった。

 

 

 

 

 

――そうして彼らは巻き込まれていく……平行世界たるここで起こり行く、一つの事件に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わぁ〜、凄いね、蓮也! 人がお空をビュンビュン飛んでるよ!!」

 

「いや、そんなこと言ってる場合じゃ――って来たぞ、綾菜!」

 

「分かってるよ、お兄ちゃん……刃に纏え、雷付与(エンチャントライトニング)!」

 

 

――ふと感じた魔力反応を辿って守護騎士と出会い、戦ったり……

 

 

 

「まず、貴方たちのお名前を聞かせてもらえるかしら?」

 

「高町蓮也です」「高町綾菜……」「高町彩音〜♪」

 

「…………なのはさんの家って、確かこのくらいの子供はなのはさんだけよね?」

 

「えっと、前まではそうだったんですけど、最近になって増えちゃって……」

 

「増えちゃったはないだろ……増殖じゃあるまいし」

 

 

――管理局と接触し、無用な混乱を多々招いたり……

 

 

 

「何なんでしょうね……この子たちは」

 

「デバイスも持ってないのに魔法が使えて、しかもランクが全員オーバーSだなんて……」

 

「というか、一人測定不能だし……ある意味、理不尽の塊ですね」

 

「そうねぇ……でも、だからこそ是非とも管理局に入って欲しいわね。これだけの資質を見せる子が三人も入ってくれたら……」

 

「万年人手不足の時空管理局としては大助かり、ですねぇ……」

 

 

――実力を見るための模擬戦で脅威のランクを弾き出し、リンディに目をつけられたり……

 

 

 

「ヴィータよわ〜い……魔法使いさんなんだから、もうちょっと強いと思ってたのに」

 

「んだとテメエ!!」

 

「わっ、怒った……でも、動きが遅すぎだよ♪」

 

――素で挑発をしてヴィータを怒らせたり……

 

 

 

「やるな……テスタロッサも中々だったが、お前はそれ以上だ」

 

「そちらも、十分に強いです。でも、負けませんよ……」

 

「ふ、それは私とて同じだ。では……いくぞっ、高町蓮也!!」

 

――まるで戦いを楽しむかのように言い合い、刃を交えたり……

 

 

 

 

 

――予期せずやってきた世界で、怒涛の如く事態は動いていく。

 

 

 

――それは本来あり得ないこと、あるはずのない事態。

 

 

 

――しかし、動き出した運命は止まることを知らず

 

 

 

――ただひたすら、誰もが知りえぬ未来へと突き進んでいく。

 

 

 

――果たして、未来が変わってしまった世界で起こりえた事件の結末はどうなるのか。

 

 

 

――そして蓮也、綾菜、彩音の三人は無事に元の世界へと戻れるのか。

 

 

 

 

メンアットトライアングル!2 × 魔法少女リリカルなのはA’s

 

『メンアットリリカル! 〜神を超えし者たち、別世界より来たりて〜』 

 

 

 

 

 

 

「あっちのなのはさんも……昔はこんな感じだったのかなぁ」

 

「たぶん……違うと思うよ、お兄ちゃん」

 

 

 

 

 

乞うご期待!!(嘘予告だけど

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

メンアットトライアングル2とリリカルをクロスさせた作品だわな。

【咲】 嘘予告だけどね。で、あの三人ってリリカルの世界に行ったらあそこまで強いのかしらね?

強いだろうね。元の世界では神を倒した一同に含まれてるし、彩音も教団の最終兵器だったしね。

【咲】 でも、空を飛べないのにどうやって守護騎士と戦うわけ?

そりゃまあ、管理局と接触した際に協力要請を受けて、飛翔のプログラムだけを組み込んだ簡易デバイスを受け取ったのだよ。

【咲】 ふ〜ん……ま、それだけで十分でしょうね。あの子達、魔法は素で使えるわけだしね。

まあな。だがまあ、あの子たちは基本的に魔法じゃなくて近接戦闘メインだから、意味はないがな。

【咲】 あっち側の戦い方がそうだったからねぇ……。

ていうか、恭也とかミラがこの世界に行ったらどんだけ強いんだろうな。

【咲】 恭也は心器の使い手、ミラは雷系の禁呪を自由自在に操作……鬼のような二人になるんじゃない?

かねぇ……。

【咲】 ところで今回ので明確には出てないけど、三人のランクって厳密にはどんなものだったわけ?

んっと、蓮也がSS−、綾菜がS+、彩音が測定不能だな。

【咲】 そこまで魔力とか強いわけ?

魔力はまあミラ譲りだし、この世界だとこのくらいいくだろうね。でも、そこに近接技術も加わるからランクが跳ね上がるのだよ。

【咲】 ふ〜ん。ていうか、彩音が測定不能なのはなんで?

彼女は魔力が非常識に高いし、身体能力とか戦闘技術も二人以上だから……。

【咲】 さすがは教団の最終兵器ってところかしらねぇ。

そうだな。てなわけで、今回は嘘予告でした〜。

【咲】 もしかしたら書くかもしれない、ね。

ま、あくまでもしかしたらだけどね……それよりも、本編のほうを終わらさないと書けないし。

【咲】 そうねぇ……じゃ、今回はこの辺でね♪

ではでは〜ノシ

 

 

 

 

 

 

感想は掲示板かメールにて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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