このSSはとらいあんぐるハート3とグランディアのクロスオーバーです。

といっても、(いつも通りな気がしますが)とらハ3からは恭也ぐらいしか出ません。

主軸となる世界はグランディアで話の軸も同じですので、原作を知っている方にはいろいろな違和感が出る可能性があります。

ですので、これを知った上で読んでみて尚、文句や中傷をいうのはなるべくお止めください。

上記のことを了承した上で、自分は大丈夫だと思われる方はどうぞお読みくださいませ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

GRANDIADifferentWorld Guardians

 

 

プロローグ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

投げ込まれた爆弾。

それを抱え、神速を使用して恭也は室外へと駆け出る。

一歩、また一歩と地面を踏むたび右膝に鈍痛が走るが、気にしてなどいられない。

少しでも早く、少しでも遠く、それを遠ざけねばならないから……。

 

「「恭也(恭ちゃん)!!!」」

 

部屋を駆け出る寸前に二人の、美沙斗と美由希の声が聞こえた。

しかし、それに振り向くことも、足を止めることも、するわけにはいかない。

振り向けば、足を止めれば、爆弾の脅威に二人を晒してしまうことになるから。

 

「っ!!」

 

神速の領域が切れると共に、眩い閃光が自身の抱えている物から発せられる。

どれくらい走っただろうか、どれくらい離れただろうか。

よくは分からないが、少なくとも二人がこの脅威に晒されることはない。

そう考えると不謹慎ながらも笑みが浮かんでしまうことを、恭也は止められなかった。

 

(すまない……皆)

 

家族や友人たちの顔が、まるで走馬灯のように頭の中を駆け巡る。

同時に自分の死で皆が悲しむ顔を思い浮かべ、心中で謝罪をする。

許してくれないだろうな……そう思いながらも、申し訳なさを込めて謝罪する。

そして、謝罪の言葉を心中に受かべると共に止まっていた時間は動き出し、爆弾が炸裂する。

そのとき、視界が光に包まれ自分の死を確信したそのとき、ほんの一瞬だけそれは見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中心にある目玉をギョロリを動かす、異形の形をした何かが……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―新大陸エレンシア・メリル山道―

 

 

 

雲一つ見えないとても晴れた日。

山沿いに山道を歩く二人の少女の姿があった。

一人は薄い青色の短い髪をした、十歳前後程度の少女。

そしてもう一人は、その少女よりも幾分か下と見られる、肩より若干下まである緑の髪をした少女。

その二人の少女は買い物帰りなのか、何やらぎっしりと詰まった紙袋を持ちながら手を繋いで歩いていた。

 

「お姉ちゃん、今日のご飯は何にするの?」

 

「う〜ん……そうねぇ。 食材も買ったわけだからいろいろできるけど……フィーナは何がいい?」

 

「何でもいいよ! お姉ちゃんのご飯は何でも美味しいから!」

 

屈託のない笑顔で言う小さな少女―フィーナに、姉と呼ばれた少女は微笑を浮かべる。

意識してではないだろうが、フィーナに向けて浮かべたその大人びた笑みが、少女の年齢を若干上に見せる。

そんな微笑ましくも仲の良い姉妹は、繋いだ手を離すことなく山道を歩き続ける。

が、それからしばらく歩き続けた二人の足は、あるものを見つけたことによって止まることとなった。

 

「お姉ちゃん、誰か倒れてるよ?」

 

「そうね……ん、フィーナ、ちょっとここで待ってて。 お姉ちゃんがちょっと見てくるから」

 

「やっ! フィーナも一緒に行く!」

 

何度少女が言っても、フィーナは頑としてついていくと言い続ける。

そのため、少女は仕方ないと折れ、絶対に自分の後ろから離れないということを約束することで了承した。

それが決まると、二人はゆっくりゆっくりと地面に倒れている人物へと近づいていく。

そして、歩み続けてその人物の傍まで近づいたとき、少女は若干驚きの表情を浮かべてしゃがみ込む。

 

「酷い怪我……少し、不味いかもしれないわね」

 

「お姉ちゃん……この人、全然動かないよ」

 

倒れている人物の負っている怪我の酷さに少女は呟き、フィーナはその人物がぴくりとも動かないことに少女の服をギュッと掴む。

少女は呟いた後、その人物を負担が掛からないようにゆっくりと仰向けからうつ伏せの状態に移し、口に耳を近づける。

すると、死んでもおかしくない怪我であるものの、その人物は微かにではあるが小さくゆっくりと呼吸をしていた。

それを少女は聞き、生きていることを確認すると、どうするべきかと思案するような表情を浮かべる。

 

「お姉ちゃん……」

 

「……」

 

その人物を前に不安そうな顔で少女を呼ぶフィーナに、考えながら顔を向ける。

そしてそこから考えること僅か、見つけてしまった以上このままにしておくこともできないという結論に至る。

その結論に至ると少女は紙袋をフィーナに持つようお願いしてその人物を背中に背負い、フィーナと共に再び歩き始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―新大陸エレンシア・少女&フィーナの家―

 

 

 

あれから数刻、二人の家のベッドでその人物は規則的な寝息を立てていた。

連れ帰ったすぐに呼びにいった医者が言うにはかなり危ない状態だったらしいが、どうにか一命は取り留めた。

そして現在、医者の帰りを見送り、二人は寝息を立てるその人物に静かに視線を向けていた。

 

「もう大丈夫なの、このお兄ちゃん?」

 

「危なかったみたいだけど、とりあえずは大丈夫みたい」

 

「よかったぁ……」

 

人が目の前で死ぬ所など見たくなかったのか、フィーナはその言葉に安心を浮かべる。

そしてその人物の額に置かれるタオルに手を当て、温くなっているのを知ると少女はタオルを手に取る。

 

「ん……ん……」

 

手に取ったタオルをベッドの横の棚に置かれている洗面器に浸け、声を漏らしつつ絞って再び額へと置く。

すると、額に置かれたタオルのひんやり感からか、その人物は小さく呻きを漏らし、閉じていた瞳がゆっくりと開かれる。

開かれた瞳にフィーナは少し驚き、すぐに少女の駆け寄ると後ろへと隠れ、様子を窺うように顔を覗かせる。

フィーナが少女の後ろに隠れてから、その人物は開いた目の焦点が合うと共に身体を起こそうとする。

それを見た少女は若干慌てつつ駆け寄り、起きようとする動きを制して再びゆっくりと寝かせる。

 

「無理をしないでください。 本来なら死んでもおかしくない大怪我なんですから」

 

「……ここ、は?」

 

「ここは私たちの家です。 あなたが山道の途中で倒れているのを私たちが見つけて、ここに運んで手当てをしたんですよ」

 

「そう、か……ありがとう」

 

「お礼なんていいですよ。 それよりも、今はゆっくりと身体を休めてください」

 

少女がそう言うと、その人物は僅かに頷いて開けた目を再び閉じる。

そしてほぼ間もなく、規則的な寝息を再度立て始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから更に時間が経ち、日付が変わった翌日の朝。

目を覚ましたその人物の額のタオルを変え、少女はフィーナと共にベッドの横に椅子を置いて腰掛けていた。

その人物は少女二人の目から見ても顔色が大分良くなっており、用意した食事を僅かながらも口にしたことから食欲も少しは出たようだった。

そして、それから何度か額のタオルを濡らしては置き、濡らしては置きを繰り返したとき、その人物は静かに口を開いた。

 

「そういえば、昨日は名乗っていなかったな。 俺は恭也……高町恭也だ」

 

「タカマチキョウヤさん、ですか? 変わった名前なんですね……あ、私はリーンと言います。 それで、この子が妹のフィーナです」

 

「初めまして……お兄ちゃん、もうお身体は大丈夫なの?」

 

「ああ、おかげさまでな。 にしても、変わった名前……か」

 

少女―リーンの口にした言葉を反復して呟き、恭也はある考えを頭に浮かべる。

それは、今いるこの場所が自分の元いた場所とはまったく異なる場所なのではないかということ。

二人の少女の名前、意識が途絶える前とは違う場所……情報は少ないが、そう思うほうが違和感は少ない。

 

「一つ、聞いてもいいかな……?」

 

「え? あ、はい、何ですか?」

 

「君たちの家が建っている、この土地について……詳しく教えてくれないか?」

 

「この土地について、ですか? いいですけど……えっと、私たちの住んでるこの家が建つのは、新大陸エレンシアにあるメリル山道外れの草原です。それで、この草原が出来た経緯は……」

 

「ああ、そこまではいい……ところで、新大陸エレンシア、というのは何だ?」

 

「何って……大陸の名前に決まってるじゃないですか」

 

当たり前のように返してくるリーンの表情に、恭也は冗談ではないと判断する。

そして、表面上は普通を装いつつも、内心ではかなりの動揺を浮かべることとなった。

 

(違う場所とは思っていたが……まさか、世界すら違うとはな)

 

ある程度の地理は心得ているが、新大陸エレンシアなるものはまったく覚えがない。

未発見の大陸、という考えも浮かべたが、そっちのほうも常識外れな考えなので除外された。

しかし、だとすると世界すらも違うという考えしか浮かばず、恭也は疲れたような溜め息をつく。

 

「あの、タカマチキョウヤさん……私からも、いいですか?」

 

「ああ、構わない。 それと、俺のことは恭也でいいから」

 

「分かりました。 じゃあ、キョウヤさん……あなたは、なんであんな場所に倒れてたんですか?」

 

「それは……俺にもわからない。 気づいたら、ここに寝かされていたからな」

 

「そうですか……じゃあ、なんであんな大怪我を? この辺りの魔物は毒を持っていたりはしますが、あんな大怪我を負うほど獰猛な魔物はいないはずなんですけど」

 

リーンの口にした言葉で、恭也の考えは確定することとなった。

少なくとも恭也の住む世界、地球上では魔物と呼ばれるような生き物は存在しないのだ。

だが、それが確定されたからといって戸惑いが消えるわけではない。

それもそうだろう……人間離れしてるとは言われてきたが、とうとう世界さえも越えてしまったのだから。

 

(ふむ……どうするか)

 

聞いた質問に答えず黙っている恭也に、リーンは不思議そうな顔を浮かべる。

それを視界に捉えつつ、恭也は真実を話すべきかどうかを心中で思案する。

正直、信じ難い話だろう……当事者である恭也ですら、確定されてもまだ俄には信じ切れていないのだ。

しかし、もし世界すらも違うのならば、恭也は身寄りがまるでないも同然。

ならば少しでも、真実を知っている者がいたほうがいい。

幸いにして、この二人の少女は恭也の目から見ても、それを言い触らしたりするような子ではないだろう。

故に、恭也は思案を始めて僅かの時間で決断し、二人に真実を話した。

すると話し終えた後、リーンは信じられないというような驚きの表情を浮かべ、フィーナに至っては話を理解し切れていない様子だった。

 

「俄には、信じ難い話ですね……」

 

「まあ……それが当然なんだろうな」

 

「ですけど、私の目から見ても語っていたキョウヤさんの目は嘘を言っているようには見えませんでした。 ですから……信じます」

 

「……ありがとう」

 

「お礼を言われることじゃありませんよ……それで、これからどうするんですか? 別の世界から来たのなら、身寄りも行く当てもないんですよね?」

 

「まあ、な。 さて……どうしたものか」

 

本当に困ったように恭也は思案する中、今まで黙していたフィーナがリーンへと耳打ちする。

何を耳打ちされたのか、フィーナが話し終えるとリーンは若干驚きを顔に浮かべ、同時に何かを考え始める。

そして考え始めてほぼ間もなく、リーンは小さく頷くと共に今だ思案している恭也へと話しかけた。

 

「キョウヤさん……提案なんですけど、身寄りも行く当てもないなら、この家に住みませんか?」

 

「え……あ、いや、それはさすがに迷惑になるだろ?」

 

「いえ、提案した本人のフィーナはもちろんですけど、私もキョウヤさんが住むことに関しては全然構いません。 さすがにただでとはいきませんので、家事とか買い物とかを手伝ってもらうという形になりますけど……」

 

「ふむ、その程度でしばらく置いてくれるのなら願ったり叶ったりなんだが……ほんとにいいのか?」

 

「はい」

 

確認をするように尋ねるとリーンは小さく頷き、フィーナはにこやかに笑みを浮かべる。

その後、結果としてその提案に乗るという形で恭也は二人の家に厄介になることになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、恭也が厄介になってから数年の時が流れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時に、年月を重ねるごとに止まっていた歯車は音を立ててゆっくりと動き始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すべての運命という歯車がゆっくり……ゆっくりと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

なんとなしに書いたとらハとグランディアのクロスです。

【咲】 恭也がフィーナの家に厄介になるってことは、始まりは新大陸から?

そやね。 幽霊船騒動が終わってからフィーナが家に帰ったところで始まりかな。

【咲】 ふ〜ん……どうせなら最初からやればいいのに。

いや、ジャスティン側というのも考えたけど、なんかこっちがいいかなって思って。

【咲】 はぁ……ま、いいけどね。

さてさて、今作は先ほども言ったとおりとらハとグランディアのクロスオーバーなわけですが。

【咲】 ですが?

なんとなくと言ったが、実際はヤミ剣のグランディア編では多少物足りないという方用だったりするんだよね。

【咲】 物足りない用なら尚更最初からやりなさいよね。

まあ……どうしても最初が知りたい場合は、グランディアをプレイしてくださいということで。

【咲】 勝手な奴……ていうか、用はただ単に自分が書きたかっただけでしょうに。

ははは、ずばりその通りだ!

【咲】 威張るな!!

げばっ!!

【咲】 まったく……じゃ、今回はこの辺でね♪

また次回も見てくださいね〜ノシ

 

 

 

 

 

 

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